普通二輪⑭(卒検)

年内最後だけあって受験者の数はこの教習所としては多く、13人でした。
私が申し込んだのが12番目だったので、その後の時限でまた一人みきわめをもらったのでしょう。


9時30分集合です。
天気は薄曇り、夜間から朝方に雨が降ったようで、路面は濡れている状態でした。
受験者の内訳は、大型2名、普通10名、小型1名です。
試験官は2名で、受験者を6名と7名に分けてそれぞれ担当するとのことでした。


初めに、試験官の一人から注意事項の説明があります。


「急制動は微妙だなー晴れてるけど路面は濡れてるんで、制動距離長いほうの設定にしますね」とありがたい判断があり、順番に検定開始です。


2列で同時に進むうち、私は3番目のスタートになりました。


自分の2つ前のスタートの人が終わったらプロテクター類を譲ってもらうので、車庫に降りて待ちます。
必然、前の人の走りを目の前で見ることになります。
待っている間、ほかの受験者と少し話をします。

時々教習で見かけていた女の子(まだ高校生だということが後で判明)は、教習開始は私より後ですが卒検を受けるのは今日が2回目だとのことでした。1回目は急制動で転倒してしまったらしいです。


などなど話しているうちに、前の前の順番の内の一人が、クランク内で転倒してしまいました。

検定中止です。

「ありゃー見たくない失敗見ちゃったねー」

ちょっと空気が重くなりました。


さていよいよ、私の番です。


生来、本番には強いほうだと思って生きてきました。

しかしこの二輪教習の中では、みきわめ等で後ろから教官に追随されていると、普段やらないような失敗をしてしまったりと、自分でも思いがけないメンタルの弱さも感じてきました。

年かもしれません。


ともあれ、転倒しないように慎重にバイクにまたがって、検定スタートです。
大きな失敗はなく四輪コースを回り、エンストせず坂道発進、二輪コースに戻ってきてまずクランク、やった!パイロンに当たらなかった!!
次は一本橋。
折しも太陽が顔を出したのか、この日は一本橋が輝くように明るく見えました。
本当です。
タイムはわかりませんが渡りきることができ、あとはS字、急制動、スラロームと転倒接触なく終えることができました!



たぶん受かっただろうと思いました。
もしこれで受からないのだったら、私の力では受かることはもはやないだろう、と思いました。


結果を待つ間、40代くらいの普通二輪の受験者の男性と少し話をしていました。

その人は年明けから連続して大型の教習に通うつもりとのことでした。


連続して同じ教習所で大型の教習に通うと、費用面ではかなり優遇されます。

コースもすでに頭に入っているので、おそらく大型バイクの取り扱いにさえ慣れれば、さほど苦労することなく取れるだろう、とも思いました。


実は、大型教習については考えていなくはなかったのです。


二輪教習を始める前の世間知らずなころには、「冬の間に大型まで取っちゃえば」と夫から言われて半分その気にもなっていましたが、教習を始めてからはそんな状態ではなく何となく心の中で棚上げです。
しかし、思いがけず年内で普通二輪の教習を終えることになり、さて年明け、まだ自分のバイクもない状態でどうしようか、また改めて考えることにしました。


さて、検定の結果は合格です!よかった!!


その日の受験者のうち、クランクで転倒してしまった男性以外は全員合格でした。
落ちてしまった男性はしかしさばさばした表情で

「じゃ、皆さん、安全運転で!」と手を振って去っていきました。


そうでした。


なんだか教習が人生修行のようになっていましたが、本来はバイクを楽しみたくて始めたことであり、教官がどうとか、予約がどうとかなんかよりも、これからどういう運転をしていくかが大事なのでした。


私もこれでバイク人の端くれとなる資格を得ました。


これからの人生の道幅が少し広がったような気がして、気持ちがのびのびとしています!