大型二輪①


申し込んだのはかなり大規模な教習所、というよりはいかにも「自動車学校」といったほうがしっくりくるところでした。


申し込みも予約制になっており、Webで申し込んだ返信の予約確認メールに「引き起こしがありますからサンダル以外の履物で来てください」とあり、一気に気分が暗くなりました。


やっぱりあるんだ。


実はこの自動車学校は、普通二輪教習1限目でKさんから「引き起こしができなかったら門前払い」と例えに出たところなのです。


申し込みのための予約の日時のことでその自動車学校の二輪受付に直接電話をしました。
ついでに、「あの、引き起こしがあるって書いてあるんですけど、引き起こしができないと入学できないってことでしょうか?」と尋ねてみました。
割と軽い話し方をする男性(たぶん教官)が、「いやー普通二輪の免許を持っていらっしゃるから、どちらでもいいですよ。全く初めてバイクに触る人には、手始めにって感じでやってもらいますけどね!ここでできなくても、教習進めるうちにできるようになってくださいってことで!」との答えでした。


うーん私免許は持ってるけど引き起こしができないんです、とは言えませんでした。


申し込み当日、受付を担当してくれたのはてきぱきとした様子の事務服の女性でした。
「安心プラン」は当然として、こちらのスケジュールに合わせて教習予定を立ててもらえるという「オーダーメイドプラン」というものも一緒に申し込みました。


卒業生ではないので、ほとんど割引はなく、前の教習所にそのまま申し込む場合の費用の約2倍の料金になってしまいました。
しかしもったいないとは思いませんでした。
気分を一新して、自分のペースで楽しく教習できるならそれに越したことはないと思ったのです。


込み合っているので、実際の教習開始は2週間後以降になる、と案内を受けました。


最後にその女性が「それから、引き起こしの体験なんですが、どうされますか?」
「選んでいいなら、今日はやめておきます。雨ですし…教習の中でやっていくということで…」
「わかりました。」


あっさりスルーです。


私、引き起こしができない女なんですけどすみません、と胸の中でつぶやきました。