大型二輪免許を目指す

普通二輪の卒検合格が年末ぎりぎりだったので、運転免許試験場で免許の書き換えをしたのは1月中旬になりました。


実は私は運転歴は長いのですが、一度も優良免許(ゴールド免許)を手にしたことがありません。


大きな違反や事故はないのですが、免許を書き換えてすぐくらいのタイミングで一時停止等でつかまることが多く、ずっと青免許のままになってしまいました。
今年はもともと免許更新の予定の年で、今回は誕生日までこのまま無違反で行けば、晴れてゴールド免許になるはずなので、楽しみにしていました。


運転免許試験場で印紙など購入し、受付に出すと「今日書き換えると、今年の免許更新の必要はなくなりますから」と説明を受けました。


ちょっと待ってください、とすると私のゴールド免許はまた先になるってことですか!?


受付の女性に少し気色ばんで尋ねてしまいましたが、「ここではわかりません」とにべなく言われ、確かにここでごねても仕方ないし、今はとにかく普通二輪の免許をもらうのが最優先、と手続きを進めていきました。
幸い、途中でもらった引換券には「優良」の文字があり、どうやら前倒しでゴールド免許になるようでした。


写真撮影してしばらく待ち、晴れて「普自二」の記載が入ったゴールド免許を手にしました!


さてこの後どうするか。


実は、やはり引き続き大型二輪にチャレンジすることにしたのです。


大型で特に乗りたいバイクがあるわけではありません。
夫と一緒にハーレーダビッドソンの店舗に行ったこともあり、やはりカッコいい!と思いましたが、私には重量級の車両を扱うのは無理でしょう。


ではなぜ大型二輪なのか。


ずばり、季節と年齢です。


夫と一緒にこれからツーリングに行くにしても、何しろ二人とも中高年ライダーになるわけなので、基本的には春秋の気候のよい時期にしかバイクは乗らないつもりでした。


そしてそもそも私が乗るバイクがまだ手元にありません。
納車予定は4月といわれています。
レンタルバイクという手段がないわけではないですが、おりしも年明けから大寒波でこの地方でも積雪があったりして、私たちにとってはツーリングどころではない気候です。


だったらいっそ、教習所でバイクに触れていたほうがいいのではないかと考えました。


また、しばらく中型に乗って、慣れたころに大型にチャレンジ、というのが妥当でしょうが、すでに50オーバーの私がこの先、今よりも気力体力が充実している状態はあり得ないわけで、自分の中で大型にチャレンジするなら今が最大かつ最後のチャンスかも、と思っていました。


免許さえ手にしてしまえば、その後大型に乗るのかやはり小さめのバイクにしておくのか、選択肢は自分次第です。


では教習所はどうするか。


いままで通ってきた教習所でそのまま大型の教習を申しこめば3万円の値引き(?)があったりして、かなりお得になるはずです。


しかし、私は教習所を変えることにしました。


これまでの教習所では長い時間お世話になり、最終的にきちんと免許も取らせてもらって本当に感謝しています。
わりと小食なほうなので、いわゆる「食べ放題」などでは元を取れたと思ったことが一度もありませんが、今回の教習の「安心プラン」は元を取ったどころか、普通の人の倍以上の教習をさせていただきました。


ただし教習所にしてみたらかなり問題児だったはずで、これで「大型取りに来ました」と顔を出したら、「何しに来たんすか!!」というあきれたようなKさんの顔が容易に想像できましたし、正直「恥ずかしいかも」と思ってしまったのです。



そういうわけで、大型二輪の教習は、自宅からは少し距離がありますが夫がかつて二輪免許を取った教習所に申し込むことにしました。

普通二輪⑭(卒検)

年内最後だけあって受験者の数はこの教習所としては多く、13人でした。
私が申し込んだのが12番目だったので、その後の時限でまた一人みきわめをもらったのでしょう。


9時30分集合です。
天気は薄曇り、夜間から朝方に雨が降ったようで、路面は濡れている状態でした。
受験者の内訳は、大型2名、普通10名、小型1名です。
試験官は2名で、受験者を6名と7名に分けてそれぞれ担当するとのことでした。


初めに、試験官の一人から注意事項の説明があります。


「急制動は微妙だなー晴れてるけど路面は濡れてるんで、制動距離長いほうの設定にしますね」とありがたい判断があり、順番に検定開始です。


2列で同時に進むうち、私は3番目のスタートになりました。


自分の2つ前のスタートの人が終わったらプロテクター類を譲ってもらうので、車庫に降りて待ちます。
必然、前の人の走りを目の前で見ることになります。
待っている間、ほかの受験者と少し話をします。

時々教習で見かけていた女の子(まだ高校生だということが後で判明)は、教習開始は私より後ですが卒検を受けるのは今日が2回目だとのことでした。1回目は急制動で転倒してしまったらしいです。


などなど話しているうちに、前の前の順番の内の一人が、クランク内で転倒してしまいました。

検定中止です。

「ありゃー見たくない失敗見ちゃったねー」

ちょっと空気が重くなりました。


さていよいよ、私の番です。


生来、本番には強いほうだと思って生きてきました。

しかしこの二輪教習の中では、みきわめ等で後ろから教官に追随されていると、普段やらないような失敗をしてしまったりと、自分でも思いがけないメンタルの弱さも感じてきました。

年かもしれません。


ともあれ、転倒しないように慎重にバイクにまたがって、検定スタートです。
大きな失敗はなく四輪コースを回り、エンストせず坂道発進、二輪コースに戻ってきてまずクランク、やった!パイロンに当たらなかった!!
次は一本橋。
折しも太陽が顔を出したのか、この日は一本橋が輝くように明るく見えました。
本当です。
タイムはわかりませんが渡りきることができ、あとはS字、急制動、スラロームと転倒接触なく終えることができました!



たぶん受かっただろうと思いました。
もしこれで受からないのだったら、私の力では受かることはもはやないだろう、と思いました。


結果を待つ間、40代くらいの普通二輪の受験者の男性と少し話をしていました。

その人は年明けから連続して大型の教習に通うつもりとのことでした。


連続して同じ教習所で大型の教習に通うと、費用面ではかなり優遇されます。

コースもすでに頭に入っているので、おそらく大型バイクの取り扱いにさえ慣れれば、さほど苦労することなく取れるだろう、とも思いました。


実は、大型教習については考えていなくはなかったのです。


二輪教習を始める前の世間知らずなころには、「冬の間に大型まで取っちゃえば」と夫から言われて半分その気にもなっていましたが、教習を始めてからはそんな状態ではなく何となく心の中で棚上げです。
しかし、思いがけず年内で普通二輪の教習を終えることになり、さて年明け、まだ自分のバイクもない状態でどうしようか、また改めて考えることにしました。


さて、検定の結果は合格です!よかった!!


その日の受験者のうち、クランクで転倒してしまった男性以外は全員合格でした。
落ちてしまった男性はしかしさばさばした表情で

「じゃ、皆さん、安全運転で!」と手を振って去っていきました。


そうでした。


なんだか教習が人生修行のようになっていましたが、本来はバイクを楽しみたくて始めたことであり、教官がどうとか、予約がどうとかなんかよりも、これからどういう運転をしていくかが大事なのでした。


私もこれでバイク人の端くれとなる資格を得ました。


これからの人生の道幅が少し広がったような気がして、気持ちがのびのびとしています!

普通二輪⑬(第二段階)

第二段階もみきわめの時間をとうに過ぎ、またまた煮え詰まった感じになってきました。


第二段階に進んだ時には、うまくいけば年内に免許だ!と思っていたのがどんどん怪しくなり、そのうち「どうせ年明けになるくらいなら、暖かくなる春までゆっくり教習に通ったほうがいいか」と考え始めたりしました。


実はみきわめ3,4時間目くらいで、「できてないことはないから、卒検受けてみますか?」とKさんではない教官から言われたこともあったのです。


しかしこの時は、自分としてはまだ課題のすべてを通してきちんとできたと思えたことがなかったので、「いえ、もう少し練習します」と返事してしまいました。


さらに時を経てKさんから「そろそろ卒検受けますか~」と言われたこともあったのですが、これが週末の教習で、

「卒検を受けるとしたら次の週末にしか受けられないから1週間空いてしまうのは不安です」と言ったら

「じゃあ木曜か金曜に教習入れといて挑戦っすね」という話になりました。
みきわめだけもらっておいて卒検までに自由練習、というのはこの教習所では認められていないようでした。
これが第二段階に入ってすでに17時間目のことでした。


Kさんのみきわめの申し出を断ったことを私は後で激しく後悔することになります。


次の教習では、何がいけなかったが課題のすべてがダメダメで、みきわめどころではない状態でした。


その後の教習でも、自分では今日は行けた、と思った時には、たまたまその日1回だけ落ちた一本橋を教官が見ていたらしく、

「一本橋とかもね、もう少し練習しましょう」のコメントでみきわめがもらえませんでした。


それまでの私のダメダメっぷりが教官たちの意識に刷り込まれていたのだと思います。


もう年内の卒検は無理だな、とほぼあきらめつつ、教習は行けるときに行っておこうと思っていると年内最後の卒検の前日の金曜日の夕方の教習の予約が取れました。
教習の出来は良くも悪くもいつも通りです。

やはりクランクの内パイロンに「パコン」と接触した感覚がありました。


その日の担当教官2名のうち、一人がKさんでしたが、予約上は私の担当にはなっていませんでした。

しかし、教習終わりに「明日、受けますか、卒検!」と言ってくれたのはやはりKさんです。

あれっと思い、隣にいるもう一人の教官の顔を見ると、笑顔で見返してくれました。


「え、いいんですか、こんな私が卒検なんて」

「明日が年内最後の卒検なんで、って言って今朝から何人も僕からみきわめをもぎ取っていきましたけど、一番安定してるわーって思ったわ。何も試験で落ちたからって命持ってかれるわけでないし、受けてみればいいじゃないすか。ま、どちらでもいいですよ~」

「受けます!」


というわけで、いいのか悪いのか突然みきわめをもらい、そのまま翌日の卒検の予約のために受付に向かったのでした。